避妊をせずに1年間性交渉があるにもかかわらず妊娠しない場合、不妊症と診断します。過去に妊娠の経験がない方は原発性不妊、過去に妊娠したことがある方は続発性不妊と言います。

女性も男性も原因としてあり得ます。妊娠するためには卵の成熟と排卵、卵管では受精と卵の輸送と成熟、子宮で着床が行われます。何れかに異常がある場合妊娠が難しくなります。女性の不妊の原因と割合は排卵因子3割、卵管因子3割、子宮因子2割、頸管因子1割程度です。男性の場合、精巣で精子が作られ成熟し、精管を通り尿道と合流し射精します。女性と同様に何れかに異常があると妊娠が難しくなります。また、高年齢化による卵子、精子の異常の影響も大きく、不妊症の増加の原因になっています。

人工授精

人工授精は子宮内に直接精子を注入し、受精が行われる卵管に到達する精子の数を増やすことで効率良い妊娠を目指す治療法です。あくまでも排卵、受精、着床は自然に行われます。事前に排卵日を特定し排卵日に合わせて行います。当日に精子を持ってきていただき、精液内の不純物を取り除いた洗浄を行って子宮内に専用カテーテルで注入します。適応は軽度の精子の異常、性交障害（性交痛、勃起障害、射精障害など）のあるカップル、子宮頸管粘液異常、などです。原因不明不妊に対しても回数を決めて行うこともあります。

卵管鏡下卵管形成術（FT）

卵管は卵子を取り込みと受精、卵の成熟する場としてとても重要な器官です。しかし卵管は細く長いため細菌や疾患によっては狭窄、閉鎖を起こし不妊の原因になりやすいとされています。卵管鏡下卵管形成術は子宮に近い部位での卵管狭窄、閉鎖に対し、子宮内からカテーテルを挿入し狭窄、閉鎖部を広げる保険適用の処置です。子宮卵管造影検査や子宮鏡下検査で子宮に近い卵管の狭窄や閉鎖と診断された場合は適応になります。卵管閉鎖の場所によっては子宮内からのカテーテルでは届かなかったり有効に卵管を通過させることができないために適応がないことがあります。適応者の処置後の卵管通過率は約9割以上ですが、処置後1年以内に妊娠する方は3割程度とされています。気になる方はご相談ください。